不当契約の例1:債務額の5倍の代物弁済

事案の概要

 Aさんは、35年かけてよやくローンを完済し、時価5,000万円のマイホームを手にしました。そんな折、どうしても1,000万円の現金が必要になり、X社に融資の話を持ちかけました。X社は、「返済が滞った場合は代物弁済として家の所有権をX社に移転させること」を1,000万円融資の条件として出してきました。Aさんは、背に腹は代えられないと思い、この契約書にサインしました。

 1年後、Aさんは分割金の支払いを滞らせてしました。すると、X社は契約に従い、家の所有権をX社に移すので、家から立退けと言ってきました。

 Aさんは家を手放さなければならないのでしょうか?

公序良俗違反(民法90条)

 債務額の5倍もの価値がある不動産の所有権を代物弁済の予約によって債権者が取得する行為は、いわゆる暴利行為として、公序良俗違反により無効となる可能性があります(民法90条、最高裁判決昭和27年11月20日)。

 公序良俗違反とは、公の秩序又は善良の風俗に反することで、「家族道徳に反する行為」、「人格の尊厳、自由を制限する行為」、「正義観念、社会的倫理に反する行為」、「射幸的行為」、「暴利行為」、「法令違反行為」などが挙げられます。

 契約が公序良俗に違反していると解される場合には、その契約は無効ですので、その契約に基づく義務は発生しません。本件事案のAさんは、家を手放さなくてもよい可能性があります。

 

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