説明書の著作物性を認める一部勝訴判決

 平成28年7月27日、東京地方裁判所で、乳幼児用遊具の説明書に関する著作権侵害を理由とする差止・損害賠償請求事件に関し、当事務所が代理人を務めた原告側の主張を一部認める判決が出されました。

 

 裁判所は、説明書中の挿絵部分について、「乳幼児の顔・格好等をどのように描くかについてはある程度選択の幅がある」、「本件商品の使用方法等を示す挿絵という性質上、表現の選択の幅はある程度限られる面があるものの、上記のような絵全体としての描き方には少なからぬ選択肢が存する」、「原告挿絵4は、本件商品の取扱説明書における挿絵ではあるが、思想又は感情を創作的に表現したものであって、文芸、学術、美術又は音楽の範囲に属するものであり、美術の著作物に当たるというべきである」などと判示し、挿絵3点について原告側の主張を認め、被告に対し、使用差止めと損害賠償の支払いを命じました(東京地判平成28年7月27日)。

 

 説明書中のイラストの著作物性については、既に別の裁判例があり、浄水器の説明書の著作物性が争われた事件において、イラスト図の掲載は、「取扱説明書において頻繁に利用される、ありふれた表現形式である」として著作物性が否定されていました(大阪地判平成23年12月15日)。

 

 今回争いとなった挿絵では、製品とともに乳幼児の顔や体が描かれていたこともあって、表現の仕方にはある程度選択の幅があり、商品説明のためのイラストであるからといって創作性が否定されるものではない、との判断に至ったものと考えられます。

 取扱説明書という技術的側面の強い創作物について、思想又は感情の創作的表現を保護の対象とする著作権法の適用を認めた本判決の意義は大きいといえます。

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